心配性ときどき温泉

心配性な筆者による、「これってどうなの」「こうした方がいいんじゃない」な記事がメインの予定です。それと、たまに温泉とか旅。

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 本はたくさん持っているのですが(本などが多すぎて、床が抜けるか計算したことを以前に書きました→集めた本やCDで床が抜けたらどうしよう…部屋の耐荷重と重量計算)、それでも新たに読みたい本が出てくることはあります。
 その場合、当然ながら、本屋さん(古本屋を含む)や図書館で新たに本を入手することとなりますが、そこで気になってくるのが、新型コロナウイルスについてです。

新型コロナウイルスは、本などから感染する?

 幸いマスクは備蓄してありますし(普段の心配が幸いしました)、心配し過ぎるとストレスで抵抗力が弱まりそうなので、予防に努める以外は気にし過ぎないようにして過ごしていますが、書店や図書館の本というのは不特定多数の人が触るものです。それを持ち帰り、例えば寝床などで読むという行為は、リスクではないのでしょうか?
 もっと言うと、本に限らず、お店に置いてある大半のものは、お客が自由に手に取ることができます。
 ただ、服やパッケージされた食品なら、洗濯したり容器を適切に破棄すれば、そこまで心配することもないと思います。けれども本は剥き出しの紙ですので、洗うこともできず、容器に当たるものもありません。そのまま家に持ち込むのは、少しためらわれます。

 各所の図書館のサイトなどを確認しますと、朗読会や講演といった各種イベントについて自粛するという情報が色々と出てきます。しかし、図書の貸出については、特に何の注意もされていないようです。→2月末日より、全国的に臨時休館となる図書館が大半となりました(お近くの図書館のウェブサイトをご確認ください)。が、既に借りられている本については特に注意喚起などはされていないようです。
 また、公共機関ではなく営利事業者である書店については、今のところ臨時閉店などは無いようです。
 図書館にしても、臨時閉館は「人が集まること」に対処するものであり、「図書の貸出そのもの」については特に留意されていないように思います。
 “本を介して新型コロナウイルスが感染するかもしれない”という心配は、杞憂なのでしょうか。けれども気になるので、新型コロナウイルスが本を介して感染し得るのか、調べてみることにしました。

つるつるした物に注意


 そもそも新型コロナウイルスが物を介して感染するのか、ということについて、まずは確認してみます。
 Yahoo!ニュースに掲載された記事によれば*1、「共用の食器(ビュッフェのトングやスプーンなど)や共用スペースのドアノブ・手すり・ひじ掛けなどに触ったら――1にも2にも、粘膜に触れる前の手洗いが有効です」とあります。図書館や書店の本も、ここに該当しそうではあります。
 さらに、表面がつるつるした平滑なものが、新型コロナウイルスの感染においては危険という記事も見つかります*2。本のページは、つるつるとはあまり言い難いですが、コート紙のカバーやフィルムが掛かった本の表紙部分については、用心が必要ではないかと思われます。
*1 広がる新型コロナウイルスからわが身を守るには(Medical Note) - Yahoo!ニュース
*2 新型コロナウイルスが潜む“ツルツル”のもの スマホに付いたウイルスから感染する危険も… - FNN.jpプライムオンライン

本からの感染も、可能性は無くもなさそう


 しかし、電車の手すりや吊革といった、不特定多数の人が四六時中さわるものと比較すると、図書館や書店に無数に並んでいる本は、それほど高頻度で人が触るとは言えません。それでも用心した方がいいのでしょうか。
 この疑問に答えるには、物の表面に付着した新型コロナウイルスが、どれくらいのあいだ毒性を保っているのかを知る必要があります。先の記事*2では、インフルエンザウイルスが、つるつるした面についた場合の寿命を、最大48時間としています。しかし、この数字が新型コロナウイルスでも同様なのかは確かではありません。
 新型コロナウイルスの寿命はどうなのか、さらに調べたところ、新型ではない従来のコロナウイルスについてですが、「病院のドアノブ、ベッドサイドテーブル、ナースコール用のベルなどの金属やプラスチックに付着したウイルスは、最長で9日間、感染力を維持することができる」との記述を見つけました*3
 「新型コロナウイルスも従来のコロナウイルスと同じ性質を持つとすれば」という前提はありますが、ひとつの判断材料にはなるでしょう。9日間という数字は、本においても、無視できない期間ではないかと思います。
 上記から、高くはないと思いますが、本に付いた新型コロナウイルスが感染力を保ち続け、触った人の手に付くという可能性はあると考えられます。
 もちろん、例えば3年前に入荷して一度も手に取られたことのない本などは、可能性が低いでしょう。反対に、大ベストセラーは可能性が比較的高い、ということになるかと思います。
*3 体外に出たウイルスの寿命 コロナはインフルの数倍以上か(2020年2月21日)|BIGLOBEニュース
 ※上記の元サイトでの記事。現在は削除されているようです→体外に出たウイルスの寿命 コロナはインフルの数倍以上か - ウェザーニュース


取り得る対策を検討しよう

 可能性が少しでもあるのなら、自分としては何らかの形で対応したいと思います。以下、基本的な方策から挙げていきましょう。

当面、新たな本を入手しない


 根本的な対処としては、新たに本を手に入れることを我慢することが考えられます。いささか窮屈ではありますが、逆に積読を消費する良い機会と考えるのも良いでしょう。
 または、お試し期間という気分で、電子書籍に親しんでもいいかもしれません。これならば、物体としての本ではありませんのでウイルスなどは気になりません。
 自分は数年前に購入したKindle端末を持っていますが、Kindleのアプリをインストールすれば、手持ちのスマホやタブレットでも読むことができます。「青空文庫」を底本とした0円のKindle本も割と数があり、著作権の消滅した名作などを読むのであれば、限りなく図書館に近い使用感を得られると思います。
 自分もそろそろ新調しようと思っていますが、新たにKindle用の端末を購入するなら、カラーも楽しめる「Fire HD」シリーズが良さそうです。



本に触った後に手洗い&本の表面をアルコールで拭く


 以降は、本を入手せざるを得ない場合の対処です。
 その場合の基本的な対応は、やはり手洗いでしょう*4*5。ただ、手洗いのみでは、本の表面に新型コロナウイルスが付着している場合、その根本的な対策にはなりません。従って、アルコールスプレーなどをティッシュにしみ込ませ、それで本の表紙や裏表紙、背を拭くくらいはしておいた方が、より安心ではないかと思います。自分が日常的に行く量販店では品薄気味のアルコールスプレーですが、例えばAmazonで検索すると、まだ在庫があるものも幾つかあります
*4 新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~ | 首相官邸ホームページ
*5 新型コロナウイルス「最適な消毒薬は?」「安全な使い方は」「入手困難どうすれば?」薬剤師に聞きました(市川衛) - 個人 - Yahoo!ニュース

オゾンガスや紫外線という選択肢もあるけれど…


 上で言及したアルコールによる消毒は、新型コロナウイルスにも有効とされています。しかし、カバー部分ならまだしも、ページ部分の消毒には、すぐに蒸発するとはいえアルコールは使いにくいと思います。

 アルコールのように液体を使わず消毒する方法があるのかを調べたところ、幾つかの可能性があるようでした。
 1つは、オゾンガスを用いる方法です。環境機器を手掛ける企業のウェブサイトによりますと*6、「オゾンガス、オゾン水は、微生物やウイルスに対し高い殺菌効果を持ち」、現時点では、新型コロナウイルスへの効果実証は困難ながら「過去のウイルス同様に効果が期待されています」ということです。
 もう1つは、紫外線を用いる方法です。検索していて出てきたテレビ朝日のニュース記事によれば*7、「紫外線を12カ所から照射して機内を殺菌する」特殊な機械が、新型コロナウイルスの感染対策としてアメリカの空港で用いられているといいます。

 しかし、これらの選択肢は一般的なものではなく、正直なところ導入は難しいように思います。
 オゾンの方は、単なるオゾン発生器であれば比較的安価なものもありますが、中に物品を入れて集中的に消毒できる“殺菌庫”となると業務用の大掛かりなものしかなく、数十万円するようです*8
 紫外線についてもおおむね同様ですが、こちらは幾つか家庭用のものがあるようです。ただし、本を入れることは想定されていないため、効果のほどは未知数だと思います。

Amazon | オーデリック 家庭用衛生保管庫 OA127001 


 オゾンも紫外線も、新型コロナウイルスに対する有効性は高いとは思いますが、個人レベルで導入すようとすると、現状ではハードルが高いと言わざるを得ないでしょう。
*6 オゾンガス|株式会社IHIアグリテック
*7 新型コロナウイルス感染拡大を受け、紫外線で最も除菌力の高いUV-Cライトを搭載した充電式UV除菌器<PEDIC>(ペディック)の公式サイトでコンテンツメディアを公開しました。 企業リリース | 日刊工業新聞 電子版
*8 OSL-H オゾン殺菌ロッカー 1個 アズワン 【通販モノタロウ】 19997968

本以外にも、もちろん気を付けないと

 本については、今のところ以上のような対応かと思われますが、本以外にも、気を付けなければならないものは幾つもあると思います。自分がそう感じている物についても、少し触れておきたいと思います。

スマートフォン(携帯電話)


 これは最初の方に参考として挙げた記事*2でも触れられているものですが、スマートフォン(携帯電話)には重々気を付けないと、と思っています。電車の中などでも使うため他人の呼気に接しやすい、家の外でも中でも触れ続ける、表面が平滑な物品、という各点からすると、感染につながる可能性はかなり高そうです。
 幸い、アルコールで拭いても短期的には問題がなさそうですので(長い期間にわたって毎日拭き続けていると、塗装などが剥げるかもしれませんが)、とりあえず外から帰ったらアルコールで拭くようにしています。

お金


 携帯よりもリスクは大きく下がりそうですが、硬貨や紙幣も注意が必要と思います。家の中で触れることはあまりないと思うので、家に戻った直後と、もし触った際の手洗いを徹底すれば問題ないでしょう。

上着・眼鏡・鞄など


 その他、外から家の中に持って帰ってきて、触れることの多い上記のような物品も、一応注意が必要かと思います。眼鏡は小まめに洗うこと、上着や鞄は、玄関口などに置いておいて、家に居る際は極力さわらないようにするのがよいかと思います。

不特定多数が触れる物に気付こう

 以上、本を介して新型コロナウイルスが感染するかについての考察と、とりあえずの対策を中心にまとめてみました。手洗いとアルコールによる消毒を過不足なく行うのが大切、と要約できるでしょうか。
 本以外にも、不特定多数の人の手が触れるものが要注意という点が重要かと思います。そうしたものが身の回りに無いか、確認してみるとよいでしょう。
 追加で何か気付いたことがあれば、また記事にしたいと思います。


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新しいタオルはやっぱり快適

 先日、新しくバスタオルをおろしました。古い方も、特に不満もなくお風呂上りに身体を拭くのに使っていましたが、新しいタオルに触ってみると、やはり使い古したものに比べると使い心地が良いものですね。

うちのタオルのいくつかは今治タオル

 そんな我が家のタオル事情ですが、貰い物などの普通のタオルと、いわゆる「今治タオル」を使っています。正直なところ、そんなに意識していなかったのですが、何年か前に今治タオルが話題になった折に買ってみたところ、何となく他よりも手触りや吸水性が良いように感じ、それから自発的にタオルを入手する時は、今治タオルを選ぶようにしていました。

タオルについて改めて調べてみたよ

 何もなければ、そのまま漠然とタオルを使い続けたかもしれませんが、後述の不当労働に関する報道もあり、ちょっと見直してみたいと思うようになりました。ちょうどいい機会なので、そもそもタオルとはいつ頃からあるものなのか、今治の他に有名な生産地などはないのか、などについても、まとめて調べてみたくなりました。その結果を、ここでは集積してみたいと思います。

 以下、かなり長いので目次を設置しておきます。


タオルの歴史をひも解くと

 いつも特に何も考えず使っているタオルですが、いつ頃どこで発明されたものなのでしょうか。まずはその辺りから探ってみましょう。

起源はヨーロッパ

 タオルの起源について、どうやら確実なことは分かっていないようですが、近代的なタオルの原理がフランスで発明されたのは、1811年のことだということです*1。
 しかし、工芸品レベルとしては、それ以前からアラブ世界に存在していたという説があったり、古代ローマでバスタオル的なものが使われていたという話があったり、さらにさかのぼって、紀元前2000年ころと推定されるエジプトの墳墓からも、タオルに近いものが発見されたりしているといいます。特に古代ローマには、お風呂の文化があったようですし、バスタオルが使われていても驚きません。
 結局のところ確たる起源は不明ですが、ともかく相当古い時代に、ヨーロッパのどこかで作られ始めた、と言うことができるでしょう。
 ちなみにタオルという言葉の語源は、フランス語の「ティレール(Tirer)」やスペイン語の「トアーリャ(Toalla)」あたりから変形したものと言われているそうです*2。近代タオルの原理が発明されたのはフランスですし、フランス語由来なのかもしれません。
 フランス語としての「Tirer」の意味としては「引き出す」とか「発射する」というものだそうです。タオルのパイル地(糸を輪状に布地の上に出した布地)を作り出す挙動から命名されたのかもしれません(この辺りは完全に憶測です)。

日本に到来したのは明治初期

 産業革命や綿花プランテーションという趨勢もあって、近代以後、欧州でのタオル生産が急伸したのは想像に難くありません。そんなタオルが、日本にもたらされたのは明治5(1872)年のことのようです*1。輸入元はイギリスだったようですね。その後、国内でもタオルの生産が始まって、タオル産地が確立されていった、という流れです。
 近代的なタオルの発明から、それほど時間がかからずに(といっても60年あまり経っていますが)日本伝来が果たされたというのは、やはり貿易が盛んになった明治期だったからこそでしょう。江戸幕府の鎖国政策が無ければ、もっと早かったのかもしれません。日本には手拭いという独自アイテムが既に存在しましたが、タオルのふわふわした手触りは、きっと新奇なものとして受け入れられのでしょう。

タオルのサイズ(長さ・大きさ)や種類*3*4

 次は、タオルのサイズについておさらいしてみます。自分としては、普段フェイスタオルとバスタオルくらいしか使いませんが、微妙にサイズの違う種類を含めると、ずいぶんバリエーションが豊富なようですね。

ハンカチ大のハンドタオルやミニタオル

 もっとも小さいのが、ミニタオルやハンドタオルでしょう。おおむね15~40cm四方という正方形をしたタオルです。ハンカチの代わりとしても使えます。
 男性限定(自分限定?)かもしれませんが、大きめのものならギリギリで入浴にも使えますので、遠出をする際などに持っておくと、そのつもりがなくても立ち寄り温泉などに入りやすくなります。

手ぬぐい大のフェイスタオル・少し大きいスポーツタオル

 恐らく最もポピュラーなサイズのタオルが、フェイスタオルでしょう。寸法としては30~36×80~90cmくらいで、これは手拭いとだいたい同じサイズ感です。用途としても、入浴用や洗面台の近くに掛けて顔や手を拭くのがメインですね。
 フェイスタオルと、下のバスタオルの中間的なサイズのタオルが、30~40×80~110cmくらいの寸法のスポーツタオルです。正直、自分はバスタオルと同じように使っていますが、いちおう想定されているのはスポーツ時の汗をぬぐったり、観戦時に日よけとして羽織ったりという使い方だそうです。もちろん、その辺りは好きに使って構わないと思います。

一般的な最大サイズのバスタオル

 一般的に使われる中で最も大きいサイズのタオルが、お風呂上りに身体を拭くバスタオルです。プールなどの後にも使いますね。サイズは50~75×100~130cmくらいとのこと。最近は日本人の体格が良くなっていることもあり、バスタオルの大きさも拡大傾向だそうです。

マラソンタオルなる特殊なタオルも

 上に挙げた以外にも、細長くスポーツなどの応援グッズとして用いられるマフラータオルや、こちらもスポーツなどで休憩時にベンチに敷くベンチタオル(バスタオルよりも全然おおきいようです)などもありますが、用途としては特殊なものと言えるでしょう。
 そして、さらに特殊なタオルとして、マラソンタオルなるものがあることが分かりました。このマラソンタオルは、子どものマラソン大会などに際して親御さんが手づくりするもので、バスタオルなどを加工してベスト状にしたものを、体操着の下に着て走り、走り終えたら汗を吸ったタオルだけを脱いでしまうというものです。汗をかいたままだと風邪をひいたりしそうですし、なかなか有効なタオルのバリエーションと言えそうです。
 このマラソンタオルは、なぜか奈良県でしか使われていないようですが、マラソン大会以外にも色々と利用できそうです。下記のように商品化されたり、ハンドメイド品が「メルカリ」等でひそかに(というほど秘密裏というわけでもないですが^^;)売買されているようですので、奈良県以外の方でも入手することはできそうです。


汗シャットタオル2枚セットまとめ買い 

国内のタオル産地を探す

 気になっていた日本国内のタオル産地についても、確認してみたいところです。ずばり、現在の日本国内で有名なタオルの産地は、3か所あります。冒頭でも言及した愛媛県今治市の今治タオルと、大阪泉佐野市の泉州タオル、そして三重県津市のおぼろタオルです。
 しかし、これらのタオル産地とは、何によって産地とされているのでしょうか。
 例えば農作物なら土壌や気候によって産地が決まると思うのですが、工業製品であるタオルの場合、どういった要因によるのか、にわかには分かりません。単純に“伝統的にタオル作りが盛んだから”という理由もあるとは思いますが、それ以外にも要素があるのではないかと思います。それは、やっぱり材料なのでしょうか。それとも、加工に適した環境があるということなのでしょうか。

綿の産地とはあまり関連なさそう

 タオルの材料は主に綿のようですが、日本国内で綿を生産しているところはごく少数で、工業品として作られていることはほぼ皆無のようです*5*6。つまり、国内生産とはいえ、大多数のタオルは海外から輸入された綿で作られていることになります。
 ということは、素材である綿は、産地とはあまり関係がない、ということになるでしょう。

タオル産地の条件の一つは“良質な水”みたい

 では、タオル産地はその土地の資源的な要素とは全く無関係なのでしょうか。今治タオルのブランドサイト*7を見ていたところ、そうとも限らないと言える要素を発見しました。それは、タオル作りの「晒し」(不純物や糊を取り除き漂白すること)や「染色」といった工程で使われる“水”です。
 上記のブランドサイトによれば、今治には「高縄山系を源流とする蒼社川の伏流水や霊峰石鎚山より流れ出た地下水など、極めて重金属が少なく硬度成分も低い、晒しや染めに適した良質の水」が豊富とのこと。泉州タオルの産地である泉佐野市もまた、水なすなどの野菜やお酒も作られていることから、やはり昔から水が良いところなのでしょう。大阪タオル工業組合の泉州タオルの説明*8には「和泉山脈の豊富な地下水」がタオル作りに貢献している旨が書かれています。地名の由来的にも、頷ける気がします。
 津についても、三重の豊かな地下水を井戸から汲み上げ、タオル作りに活かしているとの記述が、公式オンラインストアの記事にあります*9。もともと木綿の産地だったこともあって、現在もタオル産地なのでしょう(ちなみに国内で木綿の生産がどこから始まったかについては、実は今のところ確かな史料が無いようです)。
 以上から、良い水を大量に使えるというのは、タオル生産において無視できない要素であることは確かでしょう。そういえば、津・泉州・今治を地図上に示すと、おおむね一直線に並ぶのが少し不思議な気もします。タオル作りに適した地下水脈でもあるのでしょうか。。

今治タオル:有名だけど不当労働が気になる

 タオル産地の条件などについて考えてきました。以降は具体的な3つのタオル産地について、特色などをまとめてみたいと思います。一番手はやはり、もっとも知名度があると思われる今治タオルからいってみましょう。

改めて、今治タオルとは

 もはや多くの人の知るところかもしれませんが、今治タオルとはどんなタオルなのか、改めて確認してみます。
 今治タオルは、その名の通り愛媛県今治市で生産されているブランドタオルです。先述の通り、タオルづくりに適した軟水だという「蒼社川の伏流水」と熟達した技術によって、安心で柔らかいタオルを量産している、とされます。
 ただし、今治市で作られているからといって、すべてが今治タオルと呼ばれるわけではないようです。

今治タオルと今治産タオルの違い

 では、ブランドとしての今治タオルと、単純に今治産のタオルとでは何が違うのでしょうか。ずばり言ってしまうと、今治タオルとして認定されるための品質基準*10が設けられており、それをクリアしたタオルだけが今治タオルを名乗ることができるということのようです。
 今治タオルを謳うための品質基準には「タオル特性」「染色堅牢度」「物性」「有機物質」という4つの区分があり、個別の項目を併せると合計12項目となります。大まかに言って、吸水性や脱毛率、洗濯や汗への耐久力、丈夫さなどがテストされるみたいですね。

技能実習生の不当労働報道を受けて

 実際に使って分かっていることですが、今治タオルの吸水性や柔らかさは確かに素敵です。それが気に入って使っていたところ、今年6月にNHKのドキュメンタリー番組「ノーナレ」にて、今治地域の縫製工場で働いているベトナム人技能実習生たちの、過酷な労働環境について人々が知るところとなりました。今治タオル工業組合は、ほぼ即座に報道されたのは「組合員ではないが、組合員等の下請け企業」であるものの、「組合にも社会的責任及び道義的責任がある、労働環境の改善に努める」と発表しています。
 この8月末に同組合はブランドを持続させるためとして「サステナビリティ方針」を始めとする複数の方針を発表し、ブランドを再構築する、としています*11。が、そうした発表からもまだ日は浅く、今治タオルの生産現場がいま現在どうなのかは未知です。なんだか、労働環境としては産業革命だのプランテーションだのの頃とあまり変わらない感じがして、微妙な気持ちになります。
 タオルに限ったことではありませんが、やっぱり“誰かが泣いて作ったもの”というのは、気が付く限りは使いたくないですね…。自分としてはこれといった対応策もなく、そうした現場がゼロになるよう祈るしかないのが歯がゆいですが。
 そうした点もあって、ブランドといえば今治だけ、という現在の我が家のタオル事情は見直していきたいと思います。ブランドタオルにこだわるとしても、下に書いたように他に幾つかの選択肢はあります(ただ、それらのタオルにしても労働環境がどうなのかは見えにくいのですが…)。
 ベーシックな今治タオルは以下のような品です。だいたい5枚で2000円程度という感じでしょうか。


今治タオルブランド認定 OSKシリーズ フェイスタオル 5枚セット

泉州タオル:日本製タオルの元祖

 続いて触れるのは、大阪の泉州タオルです。どうしても今治タオルが有名過ぎるために隠れがちですが、実は日本のタオル発祥の地は、このタオルの生産地である泉州(現在の大阪府泉佐野市周辺)だと言います。この地でのタオル作りが始まったのは、明治20(1887)年。上で書いたタオル伝来から15年後に始められ、以来130年の歴史があるということです。

後ざらし製法という特徴

 そんな伝統ある泉州タオルですが、その実力はどんなものなのでしょうか。特徴的な工程として紹介されているのは、「後ざらし」という製法です*12。
 製作時に付いた糊や、原料にもとから付いていた油などの不純物を洗い流す工程を「さらし」と呼ぶそうですが、例えば今治タオルでは製法上、これをタオルを織る前に行う「先ざらし」を採用しているようです*13。これに対して、泉州タオルが採用しているのが、タオルとして織り上げた後に行う「後ざらし」。タオルになったあとに洗うということで、清潔さ・使い始めから良好な吸水性・柔らかな肌触りを実現している、ということになるようです。

個人・企業用ノベルティに使えそうな「名入れ」

 泉州タオルの質については、上記の「後ざらし」以外の特徴は、見た感じあまり無いようでした。
 ただ、普通に使うという視点を離れて、贈答品や記念品などのためにオリジナルタオルを作るための「名入れ」については、公式オンラインショップを見る限り*14*15、今治タオルよりもオーダーできる加工の選択肢が多いようです。
 普通に使っていると見過ごしてしまいそうですが、個人で事業をやっていたり、会社でそういう部署におられる方にとっては一考の価値があるかもしれません。
 ただ、肝心の価格については見積もりを取ってみないと分かりませんので、その点は留意が必要でしょう。
 ちなみに、普通に買おうとすると、以下の品を例にすれば10枚で2000円程度。全体的な傾向は未確認ですが、この品に限っては今治タオルの半額くらいで入手できるようです。


白タオル 業務用 泉州フェイスタオル

おぼろタオル:独自技法による繊細な作りが興味深い

 今治、泉州という二大メジャーどころのタオルを見てきました。さらに、“三つ目のタオル”として知られているというのが三重県津市のタオルで、名称を「おぼろタオル」と言います。
 今治・泉州のように“地名+タオル”式でいくと「津タオル」になり、語呂が悪いのでそういう名前になったのかと思いましたが、それだけが理由ではなさそうです。その辺りも含めて詳細を確認してみましょう。

40番手の細糸使用が最大の特徴

 おぼろタオルの根源的な特徴ですが、ずばり言ってしまうと“使う糸の細さ”ということになろうかと思います。
 言うまでもなく、タオルというものは糸を織って作る織物の一種なのですが、通常のタオルに使われる糸は、「20番手」だということです*16。この「番手」というのは、“ある重さあたりの糸の長さ”を表す単位で、数字が大きくなるほど糸は細くなります。
 公式オンラインストアの「コラム」の記事*17を拝見しますと、おぼろタオルに用いられている糸の太さは40番手。普通のタオルの倍は細い糸を使っていることになります。
 同コラムでは、ボリューム、軽さ、吸水性、拭き心地、速乾性という、おぼろタオルの5つの特徴が列挙されていますが、そのほぼ全ては、この細い糸を使っていることによると言えるでしょう。

濡れて際立つ、おぼろ染め

 また、名前の由来となった技術「おぼろ染め」も見逃せません。おぼろタオルの創業者で画家でもあったという森田庄三郎という人が発明したらしいのですが、「乾いているときは柄がおぼろげに写り水に濡れると柄が鮮明に浮かび上がる」*18のだといいます。なんとも風情あるタオルではないですか。
 以上のような特徴と、作られてきた経緯*19を見るに、おぼろタオルはお風呂で使うのに特化したタオル、と言えそうです。
 見たところ、おぼろタオル株式會社という1社のみによる自社内一貫生産なので、他2つのタオルほど大量には出回っていないのかもしれません。けれど、その点も含めて自分にとっては興味深く感じられます。
 正直、今治タオルと泉州タオルには、それほど品質に違いが無いんじゃないかと思っているのですが(失礼)、細い糸を使っているおぼろタオルは、使い心地に明確に違いがありそうで、自分としては気になることしきりです。
 以下のタオルは、おぼろタオルのラインナップ中でも比較的スタンダードな品と思われます。5枚で3000円と、今治、泉州で挙げてきたものに比べると割高ではありますが、この辺りから試してみたいところです。


普段使うものだけに、よく知って選びたい

 挙げた3つ以外にも、知る人ぞ知るタオル産地があるみたいなのですが、とりあえず今回はここまでにしておきたいと思います。
 タオルというと、あまりにありふれているので、大して気にしない方もおられるかもしれません。けれども、じかに体に触れるものですし、使い心地の良さは、きっと日々を快く過ごすために小さからぬ役割を果してくれるのではないかと思います。
 そして、その快さには、やっぱり“そのタオルがどう作られたか”も含まれるのではないでしょうか。タオルについても、それ以外の物事についても、かかわった人たちが納得のいく環境で作られたものを評価していきたいところです。

 以上、たいへん長々しくなりましたが、タオルについて改めて考えてみました。また気付いたり考えたことがあったら、何かの形にしたいと思います。

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 先日、池袋の大型書店・ジュンク堂に行ったところ、1階の出入り口付近にあったオブジェに目が止まりました。それはかなり大きいものでしたが、見覚えがあったのは、自分が子どもの頃に家にあったクリスマスの飾りによく似ていたからです。
 真鍮のような金属で作られたそれは、ジュンク堂のものよりも全然小さいものでしたが、基本的な構造は同じでしょう。燭台のようにろうそくを立て、その熱で発生した上昇気流が上部のプロペラのような部分を回し、そこから吊された天使などの部品が鐘を叩いてチリチリという音を出すというものです。
 要するに最初に挙げた画像の通りの品なのですが、言葉で説明すると随分と分かりにくいですね。実際に動いている様子は、以下の動画をご覧いただくと良いかと思います。
 子どもの頃は何となくクリスマスのお飾りという認識しかありませんでしたが、これは一体、どういうものなのでしょうか。気になったので、少し調べてみました。

正式名称はエンジェルチャイム
 正式名称が解らないので、まずは「クリスマス ろうそく 回る」などの言葉で検索してみました。色々と見てみたところ、この飾りの正式名称は「エンジェルチャイム(Angle chaimes)」というそうです。
 英語版Wikipediaの記載によれば、アメリカでは1900年ごろにドイツ系の会社で作られたのが始まり*1だとか。なんとなく歴史がありそうだと思っていたのですが、意外と最近になって作られたものみたいですね。
 また、スウェーデン製のものが、第二次世界大戦後に世界的に人気になったという記述も幾つか見られました*2。それらを紹介した文章によれば「SwedenのGefleにあったAnderson&Boberg社によって初めて作り出されて、世界中で大ヒットした」ということで、これは先のWikipediaの記述と矛盾するように思われますが、多分、同じ名前の同じような商品が離れたところで登場した、ということではないかと考えます。
*1:Angel chimes - Wikipedia
*2:Amazon | Swedish Angel Chimes スウェーディッシュ エンジェル チャイム [並行輸入品] | 北欧雑貨 | キャンドル・キャンドルスタンド 通販


起源は恐らくクリスマスピラミッド
 なぜそう言えるかといいますと、調べるうちに、アメリカのドイツ系企業もスウェーデンの会社も、同じ「クリスマスピラミッド」というものを起源としてエンジェルチャイムを作ったようだと思い至ったからです。
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▲巨大なクリスマスピラミッド

 「ピラミッド」と名前にありますがエジプトとは無縁で、クリスマスピラミッドとは、ドイツのエルツ山脈地方の鉱山労働者の民間信仰に根ざしたオブジェとのこと*3*4。ドイツ語では「Weihnachtspyramide」と言うそうで、原語から既にピラミッド(pyramide)という言葉を使っているのに驚きます(でも、「ピラミッド」という言葉も元はギリシア語との説もありますし、同じヨーロッパの言語であるドイツ語に「ピラミッド」があっても、それほど奇妙ではないのかも)。
 語源はともかく、上に載せたクリスマスピラミッドの画像をご覧いただければ、基本的な構造はエンジェルチャイムと同じだということが分かるかと思います。
 その起源は中世にまで遡れるようで、元々は冬の憂鬱さを紛らわすものだったようです。それが、同じような目的でも使われていた、ろうそくの文化と混淆して、クリスマスピラミッドになった、という感じでしょうか。更に言えば、これがクリスマスツリーの原型、との説もあるようです。
*3:Christmas pyramid - Wikipedia
*4:Käthe Wohlfahrt


 思えば、ジュンク堂に置かれていたのも、エンジェルチャイムではなくクリスマスピラミッドだったのかもしれません。今も色々な種類のものが販売されているようで、木製の味わい深さを、エンジェルチャイムよりも好ましく思う人もおられることでしょう。


「キャンドルホルダー」の名前で派生品も色々
 スウェーデン製のエンジェルチャイムについては、その後その会社が閉鎖され、最近になってトルコの会社が製品の生産を引き継いだそう*2。ですが、あまり大量には作っていないみたいで、品薄状態のようです(すごくプレミアが付いているみたい)。

 ただ、派生商品と言いますか、「ろうそくが燃えることによる上昇気流でクルクルするオブジェ」は、色々なところで作られているようです。それらの多くは「キャンドルホルダー」「回転」といった言葉で検索すれば沢山みつかります
 価格も手ごろですし、もし家で楽しみたいということならば、この辺りから始めてみるのが良いかもしれません。

ろうそくは蜜蝋が本格的かも
 ただ、以前キャンドルナイトについて書いた時(ライトダウンの夜、和ろうそくの灯でお風呂はどうかな)にも触れましたが、ろうそくの材料には少し留意した方が良いかもしれません。ポピュラーなパラフィン製のろうそくは、燃焼させることで化学物質を出し、ぜんそくや、皮膚トラブルを引き起こすとされています。
 では、どんな原料が良いのかと言えば、やはり以前の記事の通り、蜜蝋(みつろう)や、ソイ(大豆)ワックス、パームワックス、コットンシードワックスということになります。が、ことエンジェルチャイムやクリスマスピラミッドに用いるのなら、蜜蝋が良いのではないか、と思います。
 というのは、キリスト教とミツバチには深い関わりがあるためです。一説によれば、ハチミツの甘さはキリストの慈悲を表し、ミツバチの針は最後の審判のシンボルであり、雌であるミツバチによって作られた蜜蝋のろうそくは、処女懐胎で生まれ、自らを人類の灯として捧げたイエス・キリストになぞらえることができる、とか。

 蜜蝋=キリスト説はともかくとしても、キリスト教は養蜂と蜜蝋とは深い関係があるのは確かなようです*5。クリスマスで用いるろうそくも、古式にのっとるとすれば、蜜蝋のものがよいでしょう。
 上の蜜蝋ろうそくは直径3.9cm。「ティーライト」と呼ばれる種類の普通の大きさでしょう。これまでに挙げたクリスマスピラミッドやキャンドルホルダーを1つ1つ確認してはいませんが、「ティーライト」を用いるものであれば、だいたい寸法が合うのでは、と思います。
*5:ヨーロッパの養蜂と民俗文化

 以上、池袋ジュンク堂から始まって、エンジェルチャイムとクリスマスピラミッドの起源を探り、キリスト教と蜜蝋の関係まで調べてみました。今年も素敵なクリスマスになりますように。

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 この夏、「CEBADA」という飲み物が売られているのを、量販店で見かけました。
 キリンの「世界のkitchenから」という企画の一環で、「麦のカフェ」という触れ込みのこの飲み物は、コーヒー豆のように焙煎した麦をお湯で浸出したというもの。スペインのレバンテ地方という処で飲まれているらしいです。詳細は以下の公式サイトで見ることができます。
 麦のカフェ CEBADA|商品のこと|世界のKitchenから|キリン



 もともと自分はコーヒーが好きなので、「どんなものかな」と思い幾度か飲みました。しかし、全体的にはあまり人気が出なかったのでしょう。秋口には、近所では見かけることがなくなりました。
 先日、あと1本だけ残っていた買い置きを鍋で暖め、ホットセバダにして飲んでみたところ、アイスで飲むのとはまた違った趣きで美味しく飲めました。というか、正直に言うと、自分にとってもアイスのセバダはそんなに美味しいと思えなかったのです^^;

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 ちなみにこのマグカップは、フィンランド旅行してきた知人のお土産、ムーミンのホーローマグカップ。あまり大きくはないので少し物足りないものの、お気に入りのカップになりそうです。
 Amazonでも入手できるそうですが、はるばる本国で買ってきたものを頂いたことに意義があるというものです。 

 CEBADAはコーヒーによく似ていますが、原材料が麦なのでノンカフェインという特徴があり、それも商品のセールスポイントだったんだろうな、と思います。
 コーヒーの代用品でノンカフェインというと、昔からよく知られているものとしてはタンポポコーヒー(タンポポ茶)が挙がるでしょうか。最近は本家のコーヒーから、カフェインを除いたノンカフェインコーヒーなども登場しており、カフェインを摂らずにコーヒー的な飲み物を楽しむという意味では、選択肢が広がってきた感があります。
 何となく興味がわいたので、ホットセバタを飲みながらその辺りを調べてみました。まとめてご紹介しようと思います。

●デカフェ/カフェインレスコーヒー
 まずは、コーヒーの「デカフェ」とか「カフェインレス」と呼ばれるものから。通常のコーヒーから、特殊な製法でカフェインを取り除いたものです。
 特殊な製法について詳しく書きますと、「超臨界流体抽出」という製法のようです。ある温度と圧力のもとで「気体」と「液体」の中間である「超臨界流体」という状態になった二酸化炭素を媒介として、コーヒーの他の成分を損なわずカフェインを抽出できる、とのこと*1。薬品を使った製法もあるそうですが、「超臨界流体抽出」の方が効率がいいということなので、この手法が支配的だろうと思います。
 インスタントのものが市販されており、下のものを実際に飲んでみたところ、当然ながら香りも味もコーヒーに近い感覚を受けました。カフェインが無い分ちょっと深みに欠けるかな、とも感じます。


 ただ、「カナリア」を自称するほど色々な成分に対する反応が鋭い妻が飲んだところ、身体に発赤が出てしまいました。これに限ったことでもありませんが、インスタントな商品として加工する過程で、何か添加されたりしている場合がありそうです。
 下のようなドリップタイプならまた違うかもしれませんが、まだ試してはいません。



 「ドトール」や「スターバックス」といったお店で飲めるデカフェコーヒーについては妻に異常は出ないようなので、お店で飲むのがいいかな、と思っています。
*1:抽出技術 | 超臨界技術センター

●タンポポコーヒー(タンポポ茶)
 次に、割とよく知られたタンポポコーヒー。タンポポの根を焙煎したもので淹れたものです。タンポポ茶と呼ばれることもあり、「焙煎したものをタンポポコーヒー、しないものをタンポポ茶という」との説もありますが、基本的には焙煎して飲むもののようですので、両者は同じものと考えていいでしょう。
 ポーランドが発祥だそうですが、ノンカフェインのうえ、胃腸病・便秘・ぜんそくの改善、利尿、母乳の出を良くする、といった効果も期待できるとのこと*2。
 香りや味ですが、上のデカフェコーヒーに比べますと、さすがに譲るというところ。それでも、朝の食卓でトーストなどと頂く分にはそれほど違和感がないと自分は感じました。



 インスタントコーヒーのような粉状や、上記のようなティーパックでも売られているようです。タンポポがよく知られている花であることも手伝って、コーヒーの代用としては、かなり身近かつ安心感もあるのでは、と思います。
*2:コラム「タンポポはいかが?」|京都府臨床検査技師会

●大麦コーヒー
 続いては、麦をコーヒー豆の代わりに用いたもの。冒頭の「CEBADA」もここに含まれます。イタリアでは「オルゾ」とも呼ばれているようです。
 CEBADAについて言えば、香りはかなりコーヒーに近いと言えます。味の方は…麦茶とコーヒーの間という感じでしょうか。既に書いた通り、アイスよりはホットの方がコーヒーに近いかな、と思います。CEBADAはペットボトル飲料ですが、ティーバッグのものもあります。



 ノンカフェインであること以外にも、胃潰瘍、心筋梗塞、脳梗塞、脳卒中、糖尿病、動脈硬化などを予防し、血行を良くするなどの効用があるようです*3。
*3:大麦を焙煎することによって得られるメリットとは?気になる味と効能も紹介|小さな焙煎職人

●その他、雑穀等を材料とする代用コーヒー
 ここからは飲んだことはないのですが、大豆コーヒー、とうもろこしコーヒー、どんぐりコーヒー、イチジクコーヒーなど、色々な代用コーヒーが存在するようです。味を調整するためか、複数の素材を混ぜたものが主流の模様。個人的には、純然たるどんぐりコーヒーなんかあれば、ちょっと飲んでみたいですね。


●チコリコーヒー(チコリ茶)
 こちらも飲んだことはないながらも、興味深い一品です。大きなスーパーなどで見かけるハーブ野菜のチコリの根を乾燥・焙煎して作った飲料です。フランスではポピュラーな飲み物で、エミール・ゾラの小説『居酒屋』でも、コーヒーをかさ増しする混ぜ物として登場しているとか(いずれ確認してみます)。
 多くは粉状のインスタント製品として販売されているようですが、下のような焙煎した根のままの商品も存在します。評判を見る限り、かなりコーヒーに近い風味のようで、いずれ試してみたいと思います。


 ノンカフェインであることに加え、整腸作用、デトックス効果などが期待できるそうですが、「子宮収縮作用があり、妊婦の方は摂取しない方がよい」との言説がネット上では散見されます。産婦人科医などの専門家の言説としては確認できませんでしたが、念のため妊娠している方は止めておいた方がいいかもしれません。

●家ではタンポポ、お店ではデカフェでいいかな
 とりあえず、カフェインが気になる時には、家ではパックのタンポポコーヒーを飲み、お店ではデカフェを頼むのがいいかな、という感じが自分の結論です。カフェインも摂り過ぎに注意して飲む分には利点もあると思いますし、TPOによって使い分けれればよいと思います。


 以上、キリンの「CEBADA」から始まって、デカフェコーヒーやノンカフェインな代用コーヒーの世界を覗いてみました。興味深い関連物を見つけたら、またご紹介したいと思います。

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