ebola_virus
(画像提供: WPClipart
 エボラ出血熱の話題を聞かなくなって久しいのですが、現状でどうなっているんでしょうか。
 ニュースを見ていたらチクングニア・ウイルスなるウイルスについての記事(「米国に忍び寄るチクングニア・ウイルスの脅威、既に130万人が感染か?」)を見つけて、不安になってしまいました(まあこっちは致死率は低いみたいですけれど)。

●基本情報のおさらい
 自分もけっこう忘れてしまっていますので、まずエボラウイルスについて簡単に復習してみます。主な参照先はこちら(国立感染症研究所 エボラ出血熱とは)。
 ○急性熱性疾患であるエボラ出血熱(近年ではエボラウイルス病とも)を引き起こす。
 ○症状は、突然の発熱、強い脱力感、筋肉痛、頭痛、喉の痛み→嘔吐、下痢、発疹、肝・腎機能異常など。
 ○エボラ出血熱に感染した人の致死率は総計54%(今回の流行での2014年8月11日時点の情報)。
 ○主な感染経路は、人や動物の体液(血液など)との直接接触。感染動物の生肉を食べることなども。空気感染は否定的。
 ○現在流行中なのは西アフリカ(ギニア、リベリア、シオラレオネ)。

 感染力について、日本政府は「弱い」と言っていますが、これだけ流行しているということは強いんじゃないかと思うんですが…。
 とりあえず感染すると致命的になる可能性が高いのは確かです。“触れる”ことが主要な感染経路ですので、全身の防護が必要になります。ある意味では空気感染よりも厄介かもしれません。

●感染の現状
 それでは気になる現状はどうなっているんでしょうか。
 再三、日本への帰国者の感染が疑われる旨の報道がされましたが、結果的に全て陰性だったようです(ちょっと疑わしいですが)。
 一方、西アフリカの現地では、感染の勢いは衰えたものの、いまだ終息への見通しは立っていないとのこと。一度は最後の患者が退院して患者ゼロになっていたリベリアでも、3/20に再び患者が出た模様です(AFP BB NEWS リベリア首都でエボラ熱の新規患者を確認、約1か月ぶり)。
 この新規の患者は感染経路が不明とのこと。ちょっと気になりますね…。
 外務省のウェブサイトをみても、西アフリカの三国については「感染症危険情報対象地域」となっており、法的拘束力は無いものの不要不急の渡航は延期するよう呼びかけています(外務省 海外安全ホームページ アフリカ(北部)地域渡航情報)。

●予防について
 いまだ現地での終息が見込めないようですし、警戒はしておいた方がよさそうです。
 仮に国内で感染が確認された場合、感染が発覚した人がそれまで移動してきた経路には感染のリスクがある、ということですから。
 接触感染のため、基本は“触れないこと”が大切で、そのための対策が有効でしょう。
 しかし、触れないと言っても限度がありますね。電車で吊革につかまらないとか、常に手袋を付けるというのは現実的ではありません。
 幸い、アルコールや石鹸によって割と簡単にエボラウイルスは死滅するようですので、基本に立ち返って、外から帰ってきたら手を洗う、というのが基本的な対処になるでしょう。
 (アルコールと石鹸が有効という根拠は以下のページです)
 ・厚労省 感染症法に基づく消毒・滅菌の手引きについて[PDF]
 ・ECDC(欧州疾病予防管理センター) Ebola and Marburg fevers Information to travellers(英語)

●治療・検査について
 治療や検査については、幾つか進展があった模様です。
 治療について挙げれば、東京大学医科学研究所が開発中のワクチン(時事ドットコム エボラの新ワクチン開発=サルで効果、安全性向上-東大など)や、米国立衛生研究所などによって開発中の2種類のワクチン(bloomberg エボラ熱ワクチンの治験が最終段階へ、第2相試験の成功で)などが有望そうです。
 東大のものは現在サルで試験したところ、米国のものは既に治験に入っていますので、後者の方が実用化は先と思われます。
 検査についても、電気化学工業と北海道大学が共同開発中のもの(時事ドットコム 電気化学、エボラ診断薬の試作品開発=15分で診断可能)、東芝と長崎大学のもの(ZUUonline 東芝が長崎大と共同でより短時間の検査を実現するエボラ出血熱検査試薬の実用性を評価)について報道されています。いずれも10~15分程度でエボラ出血熱の感染が検査できるというもの。
 これまで、日本国内で感染疑いが出ると結果が出るまで一晩程度かかっていましたが、これが短縮されることが見込まれます。
 もちろん、これらが第一に使われるべきは西アフリカ三国です。研究開発の成果で、流行が終息されるよう祈るばかりです。


 エボラウイルスと、エボラ出血熱の現状について調べてみました。
 また動きがあれば記事にしたいと思います。

 6/15追記;ギニアとシエラレオネで、一時は終息するかに見えた新規感染者数が増加の兆しを見せているとのことです。動向を見守りたいと思います。
 (エボラ出血熱の新規感染増加の兆し、WHO警戒強める - BIGLOBEニュース

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